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町田 昌彦; 加藤 孝一郎*; 志賀 基之
Journal of Chemical Physics, 148(10), p.102324_1 - 102324_11, 2018/03
被引用回数:19 パーセンタイル:71.35(Chemistry, Physical)水,重水,トリチウム水の液体状態における構造を第一原理経路積分分子動力学法を用いて研究した。用いた計算手法は、電子と原子核のすべてを量子力学的に取り扱うものであり、現時点で最も正確な計算手法の一つである。シミュレーションした結果は、実験とおおよそ一致しており、核量子効果により、同位体間の構造上の違いが明らかにされた。特に特筆すべき結果は、水分子内のOH共有結合中のHが隣接水分子との水素結合上の中点まで移動できる一方、重水素,トリチウムの順に中点まで行ける確率が減少するという傾向を得たことである。しかしながら、実験との完全な一致は未だ得られておらず、密度汎関数法の改良が必須であることが示唆された。また、最近の研究成果である密度汎関数に対するvan der Waals補正は液体状態における同位体効果を研究する上で必須であることが分かった。
志賀 基之; 篠田 渉*
Journal of Chemical Physics, 123(13), p.134502_1 - 134502_8, 2005/10
被引用回数:46 パーセンタイル:81.65(Chemistry, Physical)比熱には、特に低い温度で量子力学的効果が非常に強く効くからである。例えば、今までの通常の古典的分子動力学法では水の比熱を過大評価してしまうことが知られている。本研究では、量子効果を考慮した経路積分分子動力学法を用いて、比熱が計算できることを示す。水の三態の比熱とその同位体効果について、計算が広い温度領域で実験を再現することに初めて成功した。
志賀 基之
アンサンブル, 7(2), p.21 - 25, 2005/04
一般に、比熱を定量的に計算することは分子シミュレーションに難しいが重要な問題である。その理由は、特に低い温度領域では原子運動の量子力学的効果が大きいからである。このような量子系に対して有効なのは、経路積分シミュレーション法である。しかしながら、比熱はエネルギーの分散値であるゆえに多大な計算量を必要とするため、近年の並列型コンピュータと効率の良いアルゴリズムをもってして初めて可能になってきた。本講演では、経路積分分子動力学法を用いた比熱計算法を紹介するとともに、水の三態の比熱について応用計算について紹介する。
高柳 敏幸; 志賀 基之
Physical Chemistry Chemical Physics, 6(13), p.3241 - 3247, 2004/07
被引用回数:29 パーセンタイル:67.75(Chemistry, Physical)300個のヘリウム原子からなるクラスターに付着したカリウム原子の光吸収ダイナミクスを最近われわれが開発した非断熱ハイブリッド量子シミュレーション法を用いて理論的に調べた。この方法では、カリウム原子のP電子を量子的に取り扱い、ヘリウム原子の運動は半古典経路積分セントロイド分子動力学法によって取り扱う。数十個のトラジェクトリーを計算した結果、初期励起の種類やクラスター初期構造に依存せず、すべての場合でカリウム原子がクラスターから脱離することがわかった。K*Heエキシマーの生成メカニズムを調べるため、ダイナミクスが断熱ポテンシャル面上で起こると仮定した計算も行い、型の電子励起を行った場合にエキシマーが生成することを見いだした。これらの計算結果は過去の実験結果と定性的に一致する。また、エキシマー中のヘリウムの溶媒和構造を経路積分分子動力学法によって調べ、第一励起状態では6個のヘリウム原子が第一溶媒和相に束縛されるのに対し、第二励起状態では2個だけが束縛されることがわかった。
志賀 基之; 高柳 敏幸
Chemical Physics Letters, 378(5-6), p.539 - 547, 2003/09
被引用回数:7 パーセンタイル:21.52(Chemistry, Physical)水ダイマーアニオンについての平衡構造を経路積分分子動力学法によって計算した。過剰電子と原子核の運動の両方を量子力学的に取り扱った。水-水のポテンシャルは半経験的な関数を、電子-水の擬ポテンシャルについては、最近開発された解析関数を用いた。電子が水ダイマーに付加すると、クラスターの構造が極めてフロッピーになることが計算によって示された。特に、ドナー交換,ドナー-アクセプター交換が量子力学的トンネル効果によって、容易に起こる事がわかった。このことは、核と電子の運動を分離するボルンオッペンハイマー近似が成り立たなくなっていることを示唆するものである。
和田 晃; 高柳 敏幸; 志賀 基之
Journal of Chemical Physics, 119(11), p.5478 - 5486, 2003/09
被引用回数:22 パーセンタイル:57.9(Chemistry, Physical)サイズ選別したヘリウムクラスター中に溶かした銀原子の光励起ダイナミックスについての理論的シミュレーションを行った。銀原子のp電子の運動を量子波束法によって取り扱い、銀原子及びヘリウム原子の原子核の運動はすべて半古典経路積分セントロイド分子動力学法によって記述した。光励起前のクラスター構造を温度一定の経路積分分子動力学法によって求め、いくつかの初期構造について光によって励起状態に励起し、その後の時間発展を追いかけた。その結果、励起状態間での電子的な非断熱遷移が極めて効率的に起こることを見いだし、これが主としてヘリウム原子の量子性に起因することを突き止めた。ダイナミクスについては、ほとんどのクラスターは光励起後に、孤立銀原子とヘリウム原子に分解するが、一部は、銀の励起状態と数個のヘリウムが結合したエキシマーを生成することがわかった。
三上 泰治*; 志賀 基之; 岡崎 進*
Journal of Chemical Physics, 115(21), p.9797 - 9807, 2001/12
被引用回数:27 パーセンタイル:64.09(Chemistry, Physical)溶液中に溶かした分子の振動エネルギー緩和現象は活性化された反応分子の動力学に多大な影響を及ぼす。溶質と溶媒の間の振動,回転,並進運動エネルギーの授受を解析するため、分子動力学シミュレーションを行った。本研究では、分子振動の緩和速度に対する、溶媒運動の量子力学的ふるまいの影響が非常に大きくなる場合があることを数値的に確認した。例として、水溶液中のシアン化物イオンの分子振動緩和の速度やプロセスを挙げ、経路積分影響汎関数理論において量子的水溶液と古典的な水溶液(プランク定数をOにした場合)の違いについて検討を行った。
志賀 基之; 立川 仁典*; 三浦 伸一*
Journal of Chemical Physics, 115(20), p.9149 - 9159, 2001/11
被引用回数:120 パーセンタイル:95.31(Chemistry, Physical)経路積分分子動力学法を核に対して用い、非経験的分子軌道法を電子に対して適用することによって、核も電子も量子力学的に取り扱うことのできる第一原理計算法の一般論を展開した。この方法は、ボルン-オッペンハイマー近似の枠内で、原子配置と電子構造の両方に依存する物理量を求めることを可能にした。また、応用として、一様電場に対する応答量(双極子モーメントや分極率)の有限温度での定式化を行い、核分布と電子分布が温度や同位体置換効果に対して受ける影響を定量的に計算する方法を提案した。また、水分子の計算を実施し、実験と良い一致が見られることを示した。
志賀 基之; 立川 仁典*; 三浦 伸一*
Chemical Physics Letters, 332(3-4), p.396 - 402, 2000/12
被引用回数:73 パーセンタイル:89.19(Chemistry, Physical)化学結合の組み換えや分子の電子状態・振動状態の動的変化によるエネルギーの授受など、化学反応において競定しうるさまざまな基本的過程において、水素など軽い原子の量子的性質が重要であると考えられている。このような系ではポテンシャル曲面の微妙なふるまいが反応速度に劇的な影響をもたらす。そこで本研究では、電子だけでなく原子核をも第一原理的に量子力学的取り扱いをしたシミュレーションを提案し、あらゆる物質系に応用できる一般的手段としての数値計算法とその応用例を実証した。すなわち、電子状態に対してハートリー・フォック近似を出発点としているLCAO-MO法,原子核に対しては経路積分分子動力学法を用いた計算手法の詳細を示し、水分子の各原子核の量子ゆらぎをその電子状態への影響について計算結果を報告した。
町田 昌彦; 小山 富男*; 田中 秋広*; 立木 昌
Physica C, 331(1), p.85 - 96, 2000/03
被引用回数:37 パーセンタイル:82.46(Physics, Applied)異方性の高い高温超伝導体が示す固有ジョセフソン効果は、従来の人工的に作製されたジョセフソン接合と違い特有の新しい現象を示すことが知られている。これらの現象に対しては、これまでに現象論的モデルとそれによる現象論的解釈が与えられているに過ぎないため、どこまで現象論的解釈が妥当なのか、あるいは、どのような電子の量子力学的ダイナミクスにより、固有ジョセフソン効果が発現するのかといった最も基礎的な問題が解決されていない。本論文では、これらの問題に答えるため、電子に対する経路積分法から出発し、量子力学的自由度を経路積分することで、現象論的運動方程式の基礎づけを行うと同時にこの系に特有に現れる縦ジョセフソンプラズマについての微視的解釈を与えた。
田中 秋広*; 町田 昌彦
Physica C, 313(1-2), p.141 - 147, 1999/00
被引用回数:1 パーセンタイル:8.71(Physics, Applied)最近、S波超伝導体の磁束渦系のダイナミクスにおいて、断熱的運動に伴って生じるベリー位相の考え方に基づく議論が盛んである。われわれは、通常その議論の基礎として用いられてきた経路積分法における勾配展開法の利用を避け超流動ヘリウムIIIにおいて用いられたより厳密な計算法を使って、磁束運動に対応したベリー位相を含む作用を求めた。この結果は、これまで得られている非常に大きなマグナス力を与える作用と違い、通常観測されている程度の小さなマグナス力を支持するものである。